六・其の二

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(;´ω`)「あっぢいいいいいいいいいいいいい」 ミーンミーンと僕の頭上で蝉の合唱コンクールは開かれているらしく、 鳴りやまぬそれに僕は段々と怒りが込み上げてきた。 無理もないことだ。 この例年よりも遥かに高温であるといわれる酷暑の中、 僕は真っ黒なスーツに、真っ黒なシャツを着て、真っ黒なネクタイを締めているのだから。 (;´ω`)「ったく、相変わらずこっちは糞田舎だお。コンビニすら見当たらないとか辺境の地ここにありだお」 僕は今、とある県の田舎まで来ていた。 道中、あまりの暑さと疲労によりすっかりまいってしまった僕は、こうして木陰の下で休憩をしているのである。 (;´ω`)「しかし、思ったよりも情報は少なかったかお……」 仕方のないことだ。 むしろあったことに驚きと感謝を覚えるべきなのだから。 (;´ω`)「ふむ……」 手提げかばんの中から、自分で整理した書類を引っ張り出す。 ぽとりと額から垂れた汗が紙の上に落ちて染みを広げていった。 (;´ω`)「……止め止め。後にするお」 さて、と立ち上がる。 あまりの暑さに目まいがした。
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