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その包丁で斬り刻んでやれ。
伊予さんは、もしかしたら僕よりも殺人鬼に向いているんじゃないかと、時々思う。
彼の刃物にかける想いは誰よりも異質だ。
そう。
姉さんと伊予さんの関係とは、客と商人の間柄だったのだ。
姉さんは何処の工房の包丁より、ここの包丁を好んだ。
曰く、これは切るためではなく斬るための包丁だ、と。
相も変わらず、伊予さんの打つ包丁は見惚れる程美しい。
だが包丁はこう語りかけてくるのだ。
早く斬りたい、早く殺したい
と。
僕はそれを皮で作られた鞘へと仕舞い込む。
(=゚ω゚)ノ━・「使いこなせるまでどのくらいかかるんだかなあ?」
( ^ω^)「おっおっおっ。もう馴染んじゃったお」
けっ、と伊予さんは笑う。
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