墜落現場

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真っ昼間の緊急臨時ニュース終了後、予想通り緊急召集がかかった。自分だけではなく、同僚全員に共通している。 宮崎県江檜山(エヒヤマ)市基地に所属する自衛官 高橋修二は自宅の電気を全て消すと、私物入りのバッグを車に放り込んで江檜山の自衛隊基地へと向かった。 家は安アパート。 江檜山市の隣の欅灘市に住居を構えている。出来る限り早く車を走らせたが、行き交うマスコミの車に遅刻しそうな勢いだった。 それもその筈だ。 自分が住む欅灘市に飛行機が墜落したのだから。 予定を大幅に狂わせ、基地に到着した。馴染みの門番に中に通され、駐車場に車を停める。 基地に入り、ロッカールームに向かうと、私物入りのバッグをロッカーに放り込む。そこで大きな溜息が出た。不謹慎ながらも正直、面倒だと感じた。 滅多にないオフの今日。緊急召集がかかり、うんざりしているのだ。もちろん自衛官の自分にその言い分は通らない。
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