プロローグ

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「こちらB7-24異常なし」 予告通り定時時間に入った管制塔からの指示を受け流し、機長の佐々木は片手で計器を操作し始めた。 佐々木の隣。副機長席に座る大崎はまだ若い。大崎は50歳の佐々木に比べ30歳。 今時の男で、口より手が早い、代表的な若者の性格を表したような男だ。 「知ってます?」 その大崎が耳打ちの域に達する程の小さな声で佐々木に話し掛けた。 「何を?」 「機密の荷物のことですよ」 大崎は半ばオドオドしながら佐々木のコメントを待つ。 「ああ。知ってる」 佐々木の冷たく聞こえる返答と口調に大崎は出鼻を挫かれた気分だ。 佐々木も話は聞いていた。専属のSPのような男も数人乗っている。“ただの荷物”に、だ。 『難民キャンプへのワクチン』とだけ話は聞いているが、それが虚偽であることは十中八九予想がついている。 「怖くないんですか?」 「全然平気だ。荷物が時限爆弾なら話は別だけどな」 佐々木はたいして臆す様子を見せない。

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