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「あー!!もー!!何これ?!」
学校に向かって歩くこと1時間。
進めども進めども見えるのは森だった。
口から出たのは感激の意味での「何これ!?」ではなく、
どちらかというと悲痛な叫びであった。
迷子になったのか?!
でも、その割には道が舗装されているし……
ひたすら長い道路に疲労と軽い絶望感を抱く。
これは後日後で聞いた話だが、校門のセキュリティーを突破できた泥棒などの気力を削ぐために、ものすごーーーーく長く作られているようだった。
……まぁ、校門のセキュリティーを「外部の人」で突破した人はいないらしい。
頭上でカァとカラスが一鳴きする。
ハッと周りを見回すとオレンジ色の気配が満ちてきている。
まずい!このままじゃ陽が暮れる!
ここで野宿するのだけは勘弁だよ!!
しかし、今のペースで進めば学校に着く前に陽が落ちる。
どうしようもないこの現状から逃避したくなり、西の空に傾きつつある太陽に向かって、膝をつき手を組んで遅く動くように必死に祈りだした。
うんたらかんたら呪文を唱える。
「えろいむえっさむ…南無阿弥陀仏……えっと他に呪文あったっけ…?」
「――……おい、そこで何してんだ」
声がした方を見てみると、同じ年くらいの奴が無表情で立っていた。
思わず言葉に出して賞賛したくなる程のイケメン様だった。
漆黒の髪で、ワックスを使って髪を跳ねさせているようだが、全くチャラくは見えず、むしろ落ち着いて見える。
髪と同じ黒い瞳は切れ長のキツい印象。
――しかもこっちを睨みつけているから怖さ倍増☆
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