2.Flower except mine is red.

3/17
前へ
/30ページ
次へ
「あたしの名前はアリス・ハーティア。ヒストリア教会の魔術師よ」 「わたしはアニーです、アンって呼んでください。ヒストリアって、セルリアの元首都の?……魔術師?」 「魔術師と言えば聞こえはいいが、まあつまり魔女だ。ヒストリアは教会にとって聖地、要するに教会で一番エラい所のお抱えの魔女ってコトだ」 「えっ!?」 「まあ、そうね。あたしはあんまり好きじゃないんだけれど、時の魔女って呼ばれ方が一番多いかな」 「ええっ!?」 「で、アリスは俺が生まれた時に名前を占ってくれたんだよ。名付け親なんだ」 「えええっ!?」  意外な情報に立て続けに驚いて、アンが頭を抱えた。その様子を見て、イズナとアリスが苦笑する。 「じゃあ、アン。アリスに色々気になることを聞いてごらん」 「えっ……えっと……じゃあっ!どうやったら胸が大きくなりますか!」 「いやそういうのじゃなくって……」 「好きな人に沢山刺激を貰うと大きくなるよ。あとは牛乳かな」 「いやだからそういうのじゃなくって……アン、期待の目で俺を見るな」  はあ、とイズナがため息をつく。 「とりあえず、椅子に座ってもいいか?俺の口から詳しく説明するって言っても、まだアリスから本題を聞いてないんだ。断じて浮気じゃない」 「うん、証拠に紅茶。まだ熱いでしょ?あたしまだ来たばっかりなのよ」  確かに紅茶から、まだ湯気が立っている。イズナはいつも客が来るときに、まず最初に紅茶を出している。国産のとっても美味しい紅茶。確かにアンの手術の翌日にも、その紅茶に牛乳を入れて飲ませてもらっていた。 「……最初から疑ってなんかないわよ」 「……えっ?」  アンの意外な言葉に、イズナが驚いて目をぱちくりさせる。 「いやねえ、イズナったら鈍感なんだから」 「アリスさんもそう思いますか?」 「……えっ?はっ?」 (……じゃあ何で……正座させられたんだ……?)
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加