2.Flower except mine is red.

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 時計の短針はちょうど1と2の間を指し、日の光が窓に四角く切り取られて、木目の床に落ちている。テーブルの上には3つのカップと、その周りにイズナとアン、向かいにアリスが座っている。 「つい3日程前、この周辺で魔力が感知されたの」 「……魔力?」  首を傾げたのはアンだった。イズナはさも当然そうに、というよりもいつも通りだというような表情でアリスの方を見つめる。 「こういうのは血筋、なんだけどね。でも感知したのはあたしの妹。十字騎士団に所属しているんだけれど、丁度アーレイカムに来てるみたいなのよ。それで、連絡が入ったの」  イズナの眉がぴくり、と動いた。アンがテーブルに身を乗り出す。 「ありえない、魔力なんて非現実的だわ!小説の中だけの空想よ」 「あたしから見れば召喚術の方が気味悪いわ。発生条件が偶然とは思えない」 「なんですって?」 「……アン、やめておけ、話が進まない。……アリス、アンはそこの大学で召喚術における座標の研究を行ってるんだ。察してやってくれ」 「……わかった」「……まあ、いいけれど」  2人はしぶしぶ納得して、アンが椅子の上に戻った。 「続けるよ?……それで、感知した魔力の量は異常だった。少なくとも過去約500年間に例がない程ね」 「約500年……教会が発足してから、初の異例って訳か。それで?何が問題なんだ?」 「問題なのは……世界各地で同じような例が多発しているってこと」 「……同じような、例?」 「ここアーレイカムで膨大な魔力が感知されて、この3日で5件、突然魔力が感知される事件が多発しているのよ」 「それで、何か知らないかわざわざ聞きに来たのか?」  アリスがふっと微笑し、アンの方をちらっと見た。再びイズナの方に視線を戻す。 「はずれ。この件は召喚士にはどうにもできないよ。だから直接警告に来た」 「…………」 「……私も同意見だ。召喚士にはどうしようもない」 「……イズナ?」
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