2.Flower except mine is red.

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「……アンちゃんは、そんなことが聞きたい訳じゃないのよね」  アンは俯いたまま、椅子の背もたれに寄りかかる。ため息にも似た吐息がリビングに響いた。 「でもね、血が繋がってなくても、家族のことは心配なのよ」 「……家族……?」 「……アリスは、人前で年上扱いされるのが嫌いだと思ってたが」 「何を言ってるの?アンちゃんはもう家族でしょう?」 「そう、だな……。……アン。アリスは私の伯母さんなんだ」 「……!」  アンが顔を上げ、潤んだ目でイズナを睨んだ。といっても眼力はなく、今にも泣き出しそうな顔で、イズナをじっと睨んだ。 「イズナ、アンちゃんは蚊帳の外にされていたのが何よりも嫌だったのよ」 「……そう、なのか?……変に心配を、かけさせたくなかったんだが――うおっ!?」  ガタン!  アンが自分の椅子をはねのけて、イズナに飛び込んで抱き着いた。強くイズナの身体を抱きしめ、くぐもった嗚咽が聞こえた。 「要件は伝えたわ。じゃああたしはお土産買って帰ろっかなー。甘党のマギーの為にモンブランでも買ってあげようかなー」  そう言ってアリスがイスから立ち上がると、リビングの扉まで歩いてドアノブに手をかけた。慌ててイズナが引き留めようと、アンを抱きしめながら振り向く。 「おっ、おいちょっと――」 「紅茶、美味しかったわ。イズナ、あんまり女の子を泣かせちゃダメよ?」 「うっ……ぐすっ……イズナぁ……っ」 「うっ……」  イズナがアンの身体を抱き、頭を撫でてあやす。その様子を見てアリスが微笑むと、リビングから出て扉を閉めた。階段を下りる音がして、玄関扉を開ける音がした。 「悪かった、アン。今度からはきちんと全部話すよ」 「……嘘ついたらゴーレムで踏む」 「やめてください。……そんな嘘はつかないよ」
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