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「アン。一緒に住まないか」
白く、清潔感の保たれている病室。その部屋の中はカーテンで仕切られた6つのベッドがあり、窓際のベッドにアンは座っていた。
イズナの突然の言葉に耳まで赤くなって、真っ赤なリンゴのようになっている。
「えっ……えええええっ!?」
「こら、病院では静かにしろ」
「あ……ごめんなさい。でも、いきなりどうして?」
イズナが口ごもる。窓の外を見て、頭をポリポリとかく。その様子を見て、アンがくすっと笑った。
「あら、もしかしてそれはプロポーズかしら?それとも、お母様に『お前も良い歳だから、早くお嫁を貰いなさい』と怒られたのかしら?ふふっ、イズナのことだから勉強に没頭してて、お嫁さんを貰い損ねたとかっ!」
「婚約者は居たが、死んだ。両親も居ない」
「……ごめんなさい」
「いや、いい。それに、子供に興味はない」
「こどっ……子供じゃないもん!わたしだってもう大人よ!」
「はいはい、大人は病室で騒がない。静かにしなさい」
子供扱いされたアンが、恨めしそうにぷうっと頬を膨らます。その様子を見て、イズナがくすっと笑った。
「なんとなく……そうだな、なんとなくっていうことにしておこう。それともアンは嫌か?」
アンは激しく首を横に振る。
「ううん。孤児院の子たちも好きだけど、みんなは家族だから」
「……そうか。実はな、ここから離れてアーレイカムに移り住もうと思ってるんだ。あそこは文化保護区だから今後戦争に巻き込まれることは無いし、道幅も広いからアンも動きやすいはずだ」
「うんっ!イズナと一緒なら、どこでもいい」
「私はどこでも良くないがな」
「むうーっ。ぜんぜんロマンチックじゃないっ!イズナの意地悪ぅぅぅ」
「なんとでも言え。アーレイカムに移ってからは、脚の調子は私が見よう。カルテの複製を貰ってくる」
こうして、わたしは退院してから、イズナと一緒にアーレイカム文化保護区に住むことになった。
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