1.私が生まれた日

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誰だろう? 考えても考えても自分の名前すら浮かばないのに、他人の名前なんてわかるはずがない。 「……カズハちゃん!大丈夫?!」 初老の女は目覚めた私の手を握り、右目から一筋の涙を流した。 なぜ泣いているのだろう? つとめて冷静な私と、感情的な彼女との間には、温度差がありすぎて私はどうすればいいのかわからず、無表情のままただ黙って彼女を見つめた。
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