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次に目が覚めた時には、天井に染みはなかった。
でもあの老婆はベットの横の椅子に腰掛けていたし、やはりここは病院のようだった。
「……目覚めたんか?!いきなり倒れたからババは心配したんよ!」
初老の女は前見たときよりも少し老けた気がした。
「……ここはどこ?」
あれ?今度はちゃんと声が出る。
なんでやろう。
「……あんたまた忘れたんか」
初老の女は私の目を見つめながら言った。
「私はあんたのおばあさんや。忘れたんか?鳥取の駅を降りるまでは覚えてたやないか?」
……鳥取の駅?
覚えてない。
「……さっきいた白衣の先生は?」
「先生?先生に診てもらったのは覚えとるんか?そやな、大丈夫か診てもらわんと……呼んでくるけん、待っとって」
初老の女は慌てて部屋を出た。
扉越しに看護師に声をかけているのが聞こえる。
なぜだろう。
何も思い出せないのに、あの初老の女とはやはり初対面のような気がして仕方なかった。
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