18話.運命

16/18
前へ
/489ページ
次へ
「俺はバスケの試合だよ。あの公園のすぐ隣に総合体育館があって、そこが会場だったから。試合前に軽く走ろうと思ったら加代を見つけたわけ」 なるほど。 試合前に走ろうとする神経が信じられないけど、その結果ゆう君と出逢えたことが何だか感慨深くて、私は宙を仰いだ。 「今思うと、あれは運命だったのかな」 だとすれば、こうしてゆう君と恋人になれたのも必然だったのかもしれない。 すると、突然ゆう君は吹き出し、小刻みに肩を振るわせた。 「なんだよ、その超乙女的な発想」 まるで小馬鹿にしたような態度に、少しむっとした表情を見せる。 確かにそうかもしれないけど、何もそこまで貶さなくてもいいのではと。 私は反論しようと口を開きかけた直後。 「けど、あながち間違いじゃないかもな。あの出会いがなければ、きっと今の俺達はなかったかもしれない」 思いがけない同調に一瞬目が点になるも、単純な私はその言葉で一気に気持ちが舞い上がっていく。 これが運命なら、きっと、私達はこれからもずっと一緒にいられるはず。 そう信じて、私は胸いっぱいに溢れる幸せを噛み締めながら大きく頷くと、もう少し彼と寄り添いたくて密かに距離を縮めた。
/489ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2089人が本棚に入れています
本棚に追加