甲斐の虎

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信玄の質問に里美は、首を左右に振る。 「今の世では、不可能です。 それに私達には、作る技術がありません」 「そうか、それは残念だ」 「すみません」 本当に残念そうに言う信玄を見て、里美は申し訳なく思うと頭を下げた。 「いや、気に病むな。 お主ら何処にも行く宛てがないら、しばらく甲斐に居るといい」 「えっ? 大将、マジで言ってるの?!」 突然の信玄の発言に、佐助が驚きの声をあげた。 「これも何かの縁だ。 儂は、この者達を信じる事にした」 佐助は、呆れた様な顔をすると二人を見た。 二人は、ジッと佐助を捨てられた子犬のような目で見る。 「あぁ~、もう! 勝手にしなよ! 俺様、何があっても知らないからね」 佐助は、深いため息をつくと頭を抱えた。 春と里美は、大喜びして抱き合う。 「ウッシャアアッ! 死亡フラグ回避!」 「仏様ありがとう!」 はしゃぐ二人に、信玄が咳ばらいすると慌て二人は姿勢を正して座る。 「すみません」 「ごめんなさい」 「では、お主らの名前を聞いてもよいか?」 信玄の質問に、里美が先に名を名乗る。 「はい。 私の名前は、香川里美です」 里美が頭を下げると、今度は春が名を名乗る。 「私は、笹木春です」 春も頭を下げると、二人は息を合わせる。 「「しばらく、お世話になります」」 その後、二人は信玄と佐助に未来では、皆が苗字を持っていることや携帯の機能などについて知っている限りの知識を伝えた。 戦国の世に来て、二人の生活は始まったばかり……
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