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夏のむさ苦しい日差しが、容赦なく学校の図書室に差し込む。
終業式を終えた生徒達のほとんどが、教室ではしゃいでいるかゲームセンターに行っているだろう。
しかし、笹木春と香河里美は日差しの届かない廊下側の席に座り本を読んでる。
しばらくすると、体育教師が入って来るなり時計を見て二人を注意した。
「笹木と香河、もうすぐ下校時刻だぞ。 早く帰れ」
二人は、本から顔を上げることなく適当に返事を返す。
「はーい、分かってます」
「今、動きます。 施錠しておきますから、心配しないで下さい」
「読書もいいが、早く帰れよ」
教師は、ため息をつきながら図書室を出ていく。
教師がさると、二人は仕方なく本を閉じた。
「……あーぁ、今日も収穫なしか」
「また、今年も公民館行きだね」
「まぁ、これも全世界の腐女子のためだしね」
「自分のためでしょうが。 ねぇ、熱いからアイス食べに行こう」
「いいね! 行こう、行こう!」
春は、元気よく立ち上がると本を片付けに行く。
里美も立ち上がると、春に続くようにして本を片付ける。
二人は、戸締まりを確認すると図書室を出て施錠してから学校を後にした。
学校から出ると、近くのコンビニに立ち寄り公園のベンチに座ってアイスを食べていた。
二人が居る公園には、砂場とブランコとジャングルジムしか遊具がない。
そのせいか、公園で遊ぶ子供の姿もない。
春と里美は、この公園をたまり場と呼んでいる。
春は、アイスを食べながら一冊のノートを開く。
「ねぇ、今日は何を試す?」
「新しい方法が見つからないから、再チャレンジする?」
二人は熱心に二次元へ行く方法を、腐女子になってからずっと追い求めてきた。
のだが、どれもこれも成功した試しがない。
「じゃあ、適当に開いたページ里美に見せるね。 んで、目についたのを再チャレンジ!」
春は持っているノートを適当に開くと、里美に見せる。
里美は、目についた方法を指さした。
春がノートを見ると、里美はエレベーターを指さしている。
「じゃあ、再チャレンジはエレベーターで」
「いいよ。 カメラいる?」
「うーん。……いちよう、持って行こうか」
二人は、アイスを食べながら待ち合わせの時間などを話し合うと一旦帰宅する事になった。
この再チャレンジが、二人の始まりとなる。
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