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バックからマカロンの入った袋を引っ張り出し、中身を確認すると胸を撫で下ろす。
「あぁ~、無事で良かった」
その様子を見た、里美は春の背後からのぞき見る。
「春ママの手作り?」
「うん。 お母さん、お菓子作り好きだから」
「春ママのお菓子、美味しいからウチ大好きなんだ」
二人が談笑していると、襖が開けられ佐助が部屋に入ってきた。
「はい、ちょっと失礼。 夕餉の時間だから、ついて来な」
佐助は、部屋に入って来るなり夕餉の時間だと二人に告げる。
「もう、夕餉ですか?」
「ずいぶん、早いですね」
二人は、携帯を開くと時刻は6時半を過ぎた頃だった。
佐助は、普通に答える。
「普通だけど。 もしかして、夕餉いらなかったりする?」
「いります」
「食べます!」
二人がそう言うと、佐助は先に部屋を出て二人を先導する。
部屋を出て左に曲がり二つ目の角を曲がって、庭が見える廊下を歩き障子の部屋に入る。
「旦那達、入るよ~」
「お邪魔します」
「失礼します。」
佐助の後に続き、春と里美が部屋に入る。
部屋は、十畳くらいの部屋に信玄と幸村が座っていた。
夕餉の膳はすでに、用意されている。
二人は、下座に着席すると幸村が声をあげた。
「貴殿達は、湯浴みの!」
「あっ、あの時の」
「……」
里美は、湯浴みの時を思い出したのか無言のまま春に対応を任せる。
佐助は、里美を見ながら苦笑いした。
「湯浴み見られた相手って、旦那だったのね」
「親方様から、話を聞きました。 客人であるお二人に、不快な思いをさせてしまい誠に申し訳ありません!」
幸村は、自分の前にある膳を横に横に寄せると二人に頭を下げた。
春は、困った顔をしながら里美を見る。
「顔を上げて下さい。 男同士ですし、気にしてませんから。 ねぇ、里美」
「えっ? えぇ」
里美は、春に睨まれ渋々答える。
すると、幸村は頭を上げた。
「忝い。 某は、真田幸村と申します。 黒髪の方が香川殿で、その隣が笹木殿にございまするな」
「はい、その通りです。 しばらく、お世話になります」
春が頭を下げると、里美も軽く頭を下げた。
幸村と二人の対面を終えると、信玄が口を開く。
「自己紹介もすんだ事だ。 夕餉を頂くとしよう」
「はい、親方様!」
信玄の号令で、佐助以外は合掌する。
「「「「頂きます」」」」
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