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四人が合掌し信玄が箸をつけると、皆が食事を始める。
すると、佐助が動く。
「んじゃ、俺様これから準備があるから」
佐助は、そう言うと部屋を退室する。
里美は、佐助がいなくなると信玄に話かけた。
「あの、お風呂ありがとうございました。 先に頂いちゃって、申し訳ないです」
お風呂のお礼を言う里美に、春も箸を置きお礼を言う。
「本当に、ありがとうございます。 本来なら、信玄公が一番風呂に入るべきなのに……」
お礼を言う二人に、信玄は笑って言う。
「なに、気にする事などない。 お主達を客人として、迎えておるのじゃからな」
「あの、良かったら未来のお菓子を献上させてもらえませんか?」
春は、信玄に恐る恐る尋ねると幸村が反応する。
「未来のお菓子にござりますか? それは、どのような?」
「南蛮の甘味と言えばいいんですかね?」
春は、首を傾げ里美を見る。
里美も首を傾げた。
「まぁ、南蛮だよね。 名前がマカロンっていうお菓子で、サクサクして甘いです」
里美の説明を聞いた信玄も幸村も、マカロンに興味津々のようで熱心に話を聞いている。
「そのマカロンとやら、とても興味深い。 是非とも、食べてみたい」
「では、食後に部屋に行って取りに行きます」
二人の食べ時の反応が楽しみな春は、ニコニコと話す。
それを横で、里美はさっさと夕餉を食べる。
「して、香川殿と笹木殿は武芸の腕前は?」
幸村の質問に、春は首を左右に振った。
「ぶっ、武芸なんてやった事ありません」
「誠にござりまするか?!」
春の言葉に驚く幸村に、里美が食事を終え口を開く。
「私も、武芸をやったことありませんよ」
「見たままで私達、本当に弱いですから」
春は、笑いながら言う。
すると、幸村はシュンとする。
「そうですか、お二人と手合わせをと思っておりましたのに……」
「すいません」
「幸村様と手合わせしなくても、私達が負けるのは予想できますしね」
里美は、苦笑いしながら言う。
すると、信玄が話に割って入る。
「武芸をやった事がないのであらば、一度嗜んでみてはどうじゃ?」
「いや、私はけっこ……」
「教えていただけるんですか?」
里美が断ろうとするが、その声を遮るような大きな声で春が喋る。
信玄は、幸村を見て言う。
「もちろん。 幸村よ、二人に武芸を教えてさしあげなさい」
信玄の言葉に、幸村は喜んで頷いた。
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