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トリップして一夜あけて、二人は佐助に起こされていた。
「ちょっと、二人。 朝ごはんいらないの?」
佐助は、二人を揺すりながら言う。
春は、布団から出るとバックから携帯を取り出す。
携帯の時刻は、朝の6時を表示している。
「まだ、早いですよ」
「早くないよ。 旦那に稽古つけてもらうなら、ご飯食べといた方がいいよ」
佐助は、春の布団を片付けながらご飯を食べる様に促す。
布団を片付けられた春は、里美の布団に潜り込む。
すると、里美が不満そうに目を開ける。
「むさいな、入って来ないでよ~。 狭いし」
「人のこと言えないでしょ」
二人が布団の中で、暴れていると佐助はため息をつくと布団を剥ぎ取る。
「はいはい、二人ともムサイから」
「佐助も、ムサイです」
春は諦めて布団から退くと、髪をとかし始めた。
里美は、布団から起きると春の膝を枕にして再び寝ようとする。
「人の膝、許可なく使うなし」
「減るもんじゃないし。 ケチケチしないでよ」
「ちょっと、遊んでないで着替えてくれない?」
佐助は、里美を春から引き離すと二人の着物を渡す。
里美は着物を受け取ると、とりあえず着替える。
「あっ、ありがとうございます」
春は、着物を受けとり佐助にお礼を言う。
「いえいえ」
「お手伝いできる事があったら、お手伝いしますので」
春は、そういうと佐助に尋ねる。
「すいません、厠は何処ですか?」
「厠なら、すぐそこの裏庭を通り過ぎた所にあるよ」
「ありがとうございます」
春が厠へ行こうとすると、里美も動く。
「待って、ウチも行く」
「じゃあ、一緒に行こう」
二人は、佐助を部屋に残し厠へ向かう。
厠の前に行くと、扉を開けて固まっていた。
「未来人に、ボットンはキツイよ」
「マジで、生理的に無理だから」
ボットントイレに、二人はどうしたものかと顔を見合わせる。
「どうする?」
「どうするって、トイレはここしかないよ」
二人は、眉間にシワを寄せボットントイレを睨む。
小さな小屋で出来た厠のため、扉を閉めれば暗い。
人生初めてのボットントイレに、二人は覚悟を決められずにいた。
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