一日

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「うん。 里美の方こそ、大丈夫?」 「まぁまぁ、大丈夫。 ・・・なんか、ご飯食べる気になれないや」 里美は、髪をかきあげながら言うと春も頷く。 春は立ち上がると、幸村に質問する。 「あの、外出したいんですけどいいですか? 気分転換もかねて、いろいろ見て回りたいんです」 「外出でしたら、某がお供致しまする。 よい甘味屋を知っているので、案内します」 甘味屋と聞いて里美は、首を左右に振った。 「ごめんなさい。 行くのはいいけど、私達は無一文だから」 「甘味屋に行っても、頼まなきゃいいだけでしょ。 幸村様は、私達に気にしないで下さいね」 春は、里美の頬をつつきながら言う。 すると、今度は幸村が首を左右に振った。 「いえ、某がお二人に召し上がっていただきたいのです。 お金の事は、心配めされるな」 「でも・・・」 「春、お礼に稽古場の掃除すればいいじゃん。 もともと、タダで居候するわけにもいかないんだし」 春は腕を組、しばらく考えるとため息をついた。
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