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わたし、小日向和子
絶賛迷子中です。
沢山の人が行き交う駅の中で、新しく増える家族のお迎えにきたんだけど……見つからない。
とりあえず待ち合わせ場所に行こうと思って、前に足を出すけど、今は夕方の帰宅ラッシュの真っ只中。
わたしの進行方向は、流れに逆らって居るため、色んな人と肩がぶつかり、中々前に進めない。
ど、どうしよう…もう待ち合わせの時間になっちゃうんだけど……。
腕に抱える大きな熊のぬいぐるみ、くまこを強く抱き締めて、ちょっと気合いを居れた。
「す、すいませ…あうっ」
……もう泣きたい。
強く肩をぶつけられ、尻餅をついてしまった。わたしは急いで立ち上がって、くまこの埃を叩き落とした。
怒ったど。くまこを、汚した。
わたし怒った。
くまこを絞め殺す勢いで抱き締め、道の端っこの方の流れに逆らう人が居る所に向かい、進む。
おぉ、進めた
どうにかこうにか前に進んだのはいいけれど、ここどこ?
……えと、えと、迷子になったら…あ、電話!
いちのちゃんに電話だ!
くまこのお腹のチャックを開けて、中からケータイを取り出す。
今のくまこは、リュック使用なの。
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