第一章・―情報屋さんのお仕事は―

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 そうしてそれぞれが思い思いの言葉をかけながら、クーリッシュの手や足、更には身体ごと引っ張っていく。 「お兄ちゃん、次はこっち」 「ちがうよ、次はこっちだもん」  子供は疲れを知らないというが、目の前にある光景はまさにそれを表現しているようで、それを見たクーリッシュは小さく笑うと、手や足や身体を引っ張っている子供達に申し訳なさそうな口調で告げる。 「皆良い子だから、ちゃんと順番守れるっすね?」  言い聞かせるようなその言葉に、子供達が一斉に手を上げる。  そうしてまた、今度は誰が一番順番を守れるかと、そんな争いが始まった時、クーリッシュは背後から呼びかけられた。 「クーリッシュ様」  彼が振り向くと、そこには見慣れた相棒の顔、ブルーローズ=リヴィエールの姿があった。
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