第一章・―情報屋さんのお仕事は―

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「あ、ローザちゃん」  途端に嬉しそうな表情になる。  それを見た子供の一人がはやし始めると、次々にそれが伝染していくのに、困ったクーリッシュが照れくさそうに言った。 「駄目っすよ、大人をからかうのは」  良い大人ならばまず、それ以前に子供と同じ精神年齢丸出しではしゃぎ回ったりはしない。  もっと節操を以って、落ち着いた態度で子供と接していても良い筈だ。  だからそれを知っている子供の、二人に対するはやしたては止まらない。  それを見たブルーローズが赤い瞳を細めると、腰まであるくらいの、艶やかなさらさらの蒼い髪を揺らしながら一歩前に出る。  小さな華奢な手で握る黒いレース地の日傘に、ふんだんにレースをあしらった、少しデコルテが開いた黒いロリータ調のスカートが、少女が伴う迫力には似合っていない。
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