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何かしらしようというのか、口をひらきかけたブルーローズを、すんでのところでクーリッシュが止めた。
少女の手を取り、真面目な表情のまま無言で首を横に振る。
ブルーローズは俗に“昏きもの”と呼ばれる吸血鬼で、クーリッシュと“血の契約”を結んでいる、二人は契約主と契約鬼の関係だった。
“昏きもの”は、人間ではない。
俗に吸血鬼と呼ばれる生き物で、その姿形はあまり変えずに、人間に、社会に紛れるようにして、あらゆる時代を生きてきた存在である。
そして、吸血鬼と言えばすぐに思い起こされるのは血を啜り、人間を“昏きもの”の眷属へと貶め、十字架を嫌い、太陽の光やにんにく、流れる川を嫌う、招かれなければ初めての部屋には入れない。
そんなどこかの物語で聞くような者達だろう。
だが、実際は違っている。
彼らは微塵も十字架を恐れないし、太陽の光やにんにくですら脅威ではないのだ。
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