第一章・―情報屋さんのお仕事は―

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 その点で、彼らは物語や神話の世界で語られる吸血鬼とは大いに存在を異ならせている。  そんな彼らが唯一つ、血を啜る事だけは吸血鬼のそれと同じ習性を持っていた。  彼らが人間の言う食事の代わりに求めるモノは、人間の血。  だが、よく物語で記述されるように、むやみに血を吸える訳ではない。  何事にも相性というのはつきもののようで、人間の中に含まれる血は、個々によってそれぞれ含まれる成分というものが微妙に違っている。  そしてその差異がひとえに、“昏きもの”達が摂取出来る養分を変化させているのだ。  その法則を無視して、無差別に血を啜っていると偏食している事になり。結果、自らの寿命を縮める原因にもなり得るという訳なのだ。  彼等にも病気は存在するし、早死にという選択肢もある。  ならば、彼らはどうやって血を啜るのか?
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