―Prologue―

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 世界を真っ赤に染めているのは、“翠”色の人。  誰だか分からない。突然目の前にやってきて、僕を吹き飛ばしてから、お父さんとお母さんに手をかけた。  吹き飛ばされた衝撃で、僕は動けなかった。  お父さんが“翠”色の人と何か話していたけど、しばらくするとお母さんを庇って首をはねられた。その間に目を覚ましたのか、血飛沫を見てお父さんにすがりつきながら絶叫するお母さんは泣いていた。  そしてすぐ、遠くの方に倒れたままの僕を見て、覚悟を決めた表情で反対方向へと走って行く。  ――お母さん、行かないで……。  多分お母さんは、瀕死の僕を庇おうとしている。  でも、そんなのちっとも嬉しくない。そんな事よりお父さんとお母さんのところに行きたいのに、どうしても身体が動かないんだ。  ……そして、二人とも灰になってしまった。
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