紅き瞳

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じゃり… 砂利道を歩く度砂利は音を立て、生きている人間が砂利道を歩いている事が分かる。 その砂利道は天人や仲間の屍が山の様に地面に横たわっていた。 血の臭いや死臭の臭いが鼻に入ってきて、その光景は地獄絵図の様だった。 「オイ…ふんばれ。 もう少しだからよ…。」 銀色の髪や白い着物を来た男がまだ息のある侍をおぶる。 『そんなモン捨てちまえよ。』 聞こえる筈の無い声が屍から聞こえて来る。 『そいつはもう駄目だ。』 男は目をきつく瞑った。 「………。」 男は黙って足を進め、砂利道を音を立てながら歩く。 『目の前の敵を斬って斬って何が残った? ただの屍の山じゃねーか。』 男は瞑っていた瞳を見開き、驚きの表情を作った。 『オメェに護れるモンは何もねぇんだよ!!』 男の視界は真っ暗になり、背負っていた侍や屍の山も何も無い暗闇に男はただ一人立っていた。
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