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ここに居てもすぐに助けが来るわけではなく、運が良ければ戦闘終了後に見つけてもらえるかもしれないという程度である。
ロアは少し考えたが、ここで暇を持て余しているよりは良いだろうと穴の中に足を踏み入れた。
「何も見えねぇな……」
右手で壁を触り、左手を前に出して障害物や突き当たりに備えたが、進めど進めど左手が何かに触る事はなく、ロアは後ろを振り返った。
「いくらも進んでねぇじゃねーか」
進んだ距離は、たかだか5メートル程度であった。
必要以上に慎重になっている自分がおかしく感じ、声に笑いが混じる。
この絶望的な状況で、これ以上何を恐れる必要があるというのか。
再び前を向くと、更に奥へと進む。
徐々に暗闇に目が慣れ始めて穴の形が分かるようになると、壁に触れていた手を離した。
「何だ?」
ロアの足が止まる。
穴の奥が赤く光ったような気がしたのだ。
しばらくその場で眺めていると、また小さく赤いランプのような物が光った。
「ランプか?」
ロアは首を傾げた。
こんな砂漠のど真ん中の、こんな得体の知れない穴の中にランプがある意味が全く分からない。
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