紅き進撃

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残り2・3歩という所まできて一層強い振動が起こったかと思うと、ロアは地面に貼り付けられるように膝をついた。 まるで地面に引っ張られているかのように、体が地面に吸い付くのだ。 四つん這いのまま、急いで穴から這い出す。 「何が起こってるんだ?」 ロアは穴から這い出すと、髪や顔についた砂を払い落とし、崩れ始めている峡谷の隙間から空を見上げた。 相変わらず上空では空戦が展開されている、が、何かがおかしい。 振動と共に地面に貼り付けられるような感覚は更に強くなっているようだが、それだけではない。 「みんな落ちて来てんのか?」 戦闘を繰り広げている戦闘機が徐々に大きくなってくる。 だが、依然として戦闘は続いており、戦いながら降下してくるなど聞いた事もなければ、戦闘機の性能からしても不可能だ。 しかし、どんどん戦闘空域は近づき、目を凝らせば目視で敵味方が判別できるほどになっている。 その時、激しかった戦闘が止み、一斉に全ての戦闘機が高度を上げた。 振動と音は継続しており、相変わらず地面に貼り付けられているような感覚は消えずに、今度は耳鳴りがし始める。 「うおっ!」 切り立った岩の尖端が崩れて近くに落下し、大きな音を立てて砕けた。
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