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しばらくして、ようやく貼り付けられるような感覚がなくなると、ロアはゆっくりと立ち上がって辺りを見回した。
「何だったんだ?」
先程までいた穴の入り口が崩れて埋まっている。
まだ耳鳴りは消えていないが、先程よりは幾分かマシになっていた。
どうやら戦闘は再開されずに、連邦軍と帝国軍側に分かれて陣形を保ったまま旋回しているようだ。
連邦軍側の陣形から、一枚の木の葉がはらりと剥がれ落ちるように一機の戦闘機が離れると、真っ直ぐにこちらへと向かって来た。
ロアは急いでブーツを脱ぎ、ツナギの戦闘服を脱ぐと、パンツ一枚でツナギの戦闘服を振り回す。
「おーーい! ここだ!」
ぐんぐんと近づいて来たユーフーは、あっさりとロアの上空を通り過ぎた。
「おい!」
声を上げながら振り向くと、通り過ぎたユーフーは旋回し、放り投げられるように縄梯子が下ろされた。
ユーフーの機能上、一度着地してしまうと再度飛び立つ事が困難であるために、縄梯子を下ろすという手段が取られるのだ。
今度は速度を落として近づいて来た。
ロアが戦闘服を投げ捨ててユーフーから下ろされた縄梯子に飛び付くと、ユーフーは重そうに少し高度を上げた。
縄梯子をしっかりと握りしめ、一段一段ゆっくりと機体の方へと上って行く。
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