紅き進撃

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縄梯子がこれでもかというほど揺れる。 なんとか無事にユーフーの機体までたどり着くと、開かれたハッチから体を滑り込ませた。 縄梯子を取り込んでハッチが閉められると、ユーフーはスピードを上げて高度を上げる。 「ラウか。助かったぜ……ってか、さむっ!」 後部に設置された簡易的な座席で、ロアが寒さで自分の両腕を抱きしめる。 ユーフーは一人乗りの戦闘機であり、後部座席はあくまで救助用なのだ。 「パンツ一丁で乗り込めば寒いに決まってますよ。こっちは先輩の位置を確認して迎えに行ってるんですから、何も戦闘服を脱がなくても良かったのに」 ラウの声に笑いが混じっている。 「バ……バカヤロウ。下にいたらめちゃくちゃ暑かったから脱いだだけだ」 ロアは顔を赤くしてそう言うと、自分の首に下がっていたグラスにひびの入ったゴーグルを装着した。 パンツ一枚にゴーグルという、なんとも情けない姿である。 「ところで、何で一斉に高度を下げたんだ? その後、戦闘が止まったようだったが……」 ロアが尋ねると、ラウは困ったような声色でそれに返した。 「高度なんか下がってませんよ? むしろ、先輩が近づいて来たから場所が確認できたんですから」
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