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だが、それにも増して許せないのが連邦軍であった。
軍諜報部からの報告では、連邦軍は捕虜にした者を全て処刑し、家畜の餌にしているという事である。
人間の尊厳を踏みにじる、最も非道な行為に違いない。
ローラントは撤退していく連邦軍を睨み付け、再び声を荒げた。
「急げ! 付いて来れない者は放っておいてかまわん! 後から合流せよ!」
青年は母艦の艦長を務めるには若く、命令や言動が軽んじられる場合が多々ある。
将軍はもちろんのこと、この艦に乗船している者においてもそれは例外ではないのだ。
だが、行動の理由を逐一説明していては、常に戦況の変化し続ける戦場では行動が間に合わない。
それが故に、自分の命令に従わない者を次々に船から下ろし、大幅な人事を行なったばかりである。
もちろんそれに対する批判も多く、ローラントは結果を必要としていた。
結果を積み重ねる事が、若い自分を認めさせる事に繋がるのだ。
飛行母艦バイデンラッハが急速に浮上し始め、体が鉄の鎧でも身につけたかのように重くなる。
少しよろけたローラントは手すりを両手で掴み、小さくなって行く帝国軍の船を見下ろした。
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