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予想だにしない上からの攻撃に連邦軍は取り乱し、三日月のような陣形の中央に亀裂が入る。
いや、普通ならば連邦軍も攻撃されるまで気付かないという事はなかったはずだ。
得体の知れない巨大な物に気を取られ、目の前に迫って来る敵に対処するので精一杯だったのである。
その隙を突いたローラントの作戦が功を奏したのだ。
バリステアが更に火力を上げて陣形を二つに引き裂いて突破すると、その隙間にグランビアが入り込む。
連邦軍は必死に中央突破を阻止しようと抗戦するが、一度崩された陣形を元に戻す事は容易くはなく、次々に帝国軍の戦闘機がくぐり抜けて背後に回る。
こうなってはその場に居ても挟み撃ちにされるだけであり、連邦軍は隊を引かざるを得ない。
「よし!」
作戦の成功を確信したローラントが右の握り拳に力を込める。
その時、甲板に部下の野太い声が響いた。
「左舷後方に敵機あり! 全速で近付いてきます!」
まさか、とローラントはガラスに張り付くように敵機を探す。
浮上する前には連邦軍は隊を退いており、後方に敵は居なかったはずである。
同じように浮上してきたのならば、正面から相対する事はあっても背後を取られるはずがないのだ。
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