亜麻色の青年

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「急速旋回! 迎え撃て!」 ローラントは慌てて指示を出したが、目視で敵機を捉えた時には、既に時は遅かったのである。 「旋回、間に合いません! 直撃来ます!」 敵機から放たれた弾丸が、横からバイデンラッハの下腹部を襲う。 ローラントが手すりを掴んだのとほぼ同時に、下から突き上げるような衝撃と轟音が艦内に響き渡った。 バランスを崩して膝を着いたローラントの顔が悔しさで歪む。 「クソ! どこからやって来た!」 目の前を飛んで行く敵機を睨み付けたが、そうした所でどうなるわけでもない。 「被害状況を報告せよ!」 「生体機関損傷! 高度を保てません!」 「なんだと!?」 ローラントの表情が驚きで硬直した。 バイデンラッハは飛行母艦であり、小型の迎撃機の攻撃を少しくらったぐらいでは普通は墜落する事はない。 だが、運が悪かったのか弱い場所を狙われたのか、バイデンラッハは敵の一撃で航行不能に陥っていたのだ。 「く……」 ローラントの美しい顔が再び歪む。 「各自体を固定、完了しだい生体機関を一時停止せよ! 高度一五○○で再起動、生体機関が完全停止する前に不時着する」 ローラントが椅子に座りシートベルトを締めると、準備完了の声が上がり、吐き気をもよおす程の浮遊感が全身を襲った。
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