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「ガ……ジジッ……連邦軍紅天の翼第二…隊艦長イグナ……だ。あの巨大な物は…ジ…ガッ……状況を報…せよ」
今度は応答があり、聞き取りにくいながらも驚きと困惑の混じった声である事がわかる。
戦線から離れている事を咎められるかと思ったが、想定外の状況にそれどころではないらしい。
「あの巨大な物の正体は不明。現在、アレの上空にて交戦中。我が軍は中央突破を謀られ、不利な状況にあります。我が機は故障によって墜落した同部隊のロアを救出。安全を確保後、そちらの隊に合流します」
「ジ……了解」
通信が終了すると、ラウはスピードを落として縄梯子を下ろした。
「ちょ……縄梯子から降りるのか!?」
ロアは慌てたが、ラウは「先輩ならきっと大丈夫ですよ」と至って平静である。
ユーフーはあくまで一人乗りの戦闘機であり、後部座席は今回のような場合に救出して母艦まで送り届ける為に付けられていた。
だが、経費削減の為にパラシュート等は操縦席にしか常備されていないのだ。
まさか操縦席のパラシュートを奪うわけにもいかず、ロアは溜め息をついて縄梯子に手をかけた。
「ちゃんと迎えに来てくれよな」
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