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ユーフーの機体から外に出ると、縄梯子を下って行くロアの体が風圧で大きく揺れた。
「うおっ!」
ロアは振り落とされまいと必死で縄梯子にしがみつき、強ばった顔で地面を見下ろした。
「あっぶねぇな……」
冷や汗とともに、背筋に稲妻のような緊張が走る。
この高さから地面に叩きつけられれば、まず助からない。
ユーフーのスピードが遅くなって揺れが少し治まると、縄梯子を慎重に一段一段降りていく。
高度は更に下がり、縄梯子の一番下が地面に触れると、かん高い音を立てて跳ね上がった。
下まで降りてきたロアは、緊張した面持ちで息を吐き出す。
「行くか」
そう小さく呟くと、両手で縄梯子を掴んだまま足を浮かせ、その足を地面に下ろしてユーフーとともに走り始めた。
スピードの出ているものからいきなり飛び降りると、スピードが殺せずに危険なのだ。
とはいえ、いくらユーフーがスピードを落としていても人間が生身で出せるスピードではない。
ロアが大股で飛ぶように走る。
走る。
走る。
そろそろ手を放そうかという時、ユーフーのスピードが上がって縄梯子から手が離れた。
「あ……ちょっ! まだ早いって!」
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