捕虜

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ラウの乗ったユーフーが弧を描くように旋回しながら上昇していく。 ロアは煙草を取ろうと右手をポケットに伸ばしかけたが、戦闘服を脱いでしまった事を思い出し、その手を投げ出した。 「今日は厄日だな……」 寝転がったまま大きく溜め息をつくと、視線だけで援軍に合流するユーフーを追いかける。 「まあ、気長に待つとするか」 ロアはそう呟いたが、帝国軍の応援が来ない限り、それほど長くは続かないであろう事は予想できた。 帝国軍が今の陣形を取り続ければ、今度は帝国軍が挟み撃ちにされる。 いくら阿呆な指揮官でもそれぐらいの事は分かるはずであり、正面から戦えば援軍の参戦した連邦軍の方が数の上で圧倒的に有利であった。 つまり、帝国軍は撤退するか、一度軍を引き、援軍を待つしかないのである。 だが、連邦軍とて指をくわえて敵の援軍を待っているほど阿呆ではない。 ここは得体の知れない巨大なアレを盾に、迅速に撤退するのが利口であり、無駄に戦力を失わない唯一の方法であった。 ロアの予想通り、援軍に気付いた帝国軍は陣形を崩して散り散りに撤退し始めた。 「あそこまでバラバラにならなくても」 ロアは寝転がったまま喉の奥を鳴らして笑った。
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