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戦いは早くも幕を下ろしたが、連邦軍帝国軍ともに頭を抱える問題が残った。
後にヒグラード会戦と名付けられた戦いであったが、ほとんどの者はその名を口にする機会はなかった。
なぜなら、ヒグラード会戦において、先に名付けられたのが「アレ」や「紅いヤツ」と呼ばれる物だったせいである。
いつまでも「アレ」では会話が成り立たず、便宜上、そちらが優先されたのだ。
『アレ』に正式に名が付けられたのは、その日の夕刻の事であった。
その名を『バレエガルタ』。
再度無事に救助されたロアは母艦トゥラーヤへと収監され、軍事拠点となるスーズルへと引き返していた。
スーズルに到着したロアを待っていたのは、美女でも酒でもなく、厳めしい顔をしたジジイ共が顔を並べた審問会である。
「そんな訳のわからない話しを信じろというのか!」
頭の両脇にしか毛が残っていない中年の男が顔を赤くして立ち上がった。
「まあ、俺にも信じられないんだから当然だわな」
ロアはうんざりといった様子で溜め息を吐き出す。
実際にバレエガルタに接触したロアが審問会に呼ばれ、事の経緯を説明したのだが、まるで信じてもらえずに先程から同じやりとりを繰り返していた。
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