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同じ説明をもう二度ほど繰り返し、ロアがようやく解放されたのは、すっかり陽が落ちた後であった。
既に空には星が輝き始めている。
後ろ手にドアを閉めると、大きく伸びをして息を吸い込んだ。
たいして美味い空気でもないが、外の空気はあの密室に比べればかなりマシである。
「ハァ……」
ロアは溜め息をつきながら煙草を取り出すと、マッチに火をつけた。
「ここは禁煙ですよ。先輩」
「室内でもないのに禁煙もないだろう」
声の方に目をやると、ラウが苦笑いしながら軽く手を振っている。
ロアはまた溜め息をつきながら、仕方なさそうにマッチの火を消した。
「こってりやられたようですね」
「まあな」
煙草を箱に戻すと、ロアは軍帽を脱ぎながらラウの方へと足を向けた。
「お前はお咎め無しか?」
「先輩が重要な情報を持っていてくれたお陰で助かりましたよ」
ラウはいたずらっぽい笑みを浮かべ、ロアの隣に並んだ。
「重要な情報ねぇ……」
ロアは苦笑いを浮かべて星空に目をやった。
「とりあえず、呑みにでも行きますか?」
ラウがそう言うと、ロアは背の低いラウに視線だけを移して右の口角を吊り上げる。
「そうだな。ラウのおごりでな」
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