雨の日に。

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制服のポケットから定期券を取り出し、そしてそれを自動改札機へと挿入する。 すると、腰くらいの高さにある小さな扉がバタンと開け放たれた。 続いて改札機から再び舞い戻った定期券を掴み取ると、俺はそのまま双林寺駅のロータリーに向かった。 ロータリーに着くと、何やら先程よりも雨脚が強まったように感じられた。 俺の隣を歩く女子生徒もうんざりした表情で空を仰ぎ、左手に持たれた可愛らしい傘を開くと、そのまま歩き出した。 こりゃスボンの裾が濡れちまうな… そう思った俺はその場にしゃがみ込むと、スボンの裾をたくし上げた。 これでいくらかは濡れずに済むだろう。 靴はローファーだから、ある程度は水を弾いてくれるはずだ。 準備が完了したことで、俺はビニル傘を開け、土砂降りの真っ只中に身を投じた。
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