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月夏side
ほっぺたを膨らませたお姫ちゃんは、こっちにくるなり
「彩奏先輩、柚姫がゆずに意地悪ばっかりしてきたの。ユウカのこと怒ってください」
「部活中、誰かが怒られてるの見て、一緒に泣いちゃうお姫ちゃんに言われてもねー、本当に怒っていいの?」
「・・・やっぱり、いいです。」
こんな純粋な素直な心を持ってるお姫ちゃんはうらやましい。
後輩で一緒にお泊まりまでするほどの仲は、この二人ぐらいだ。同期の部員でもお泊まりしない子もいる。でも、なぜかお姫ちゃんは、ほっておけない。見てるとヒヤヒヤしてかまってあげたくなるのだ。
なんでもすぐに『はい』っていてしまうし、嘘をついても顔に出てたり言葉の矛盾や話し方でバレバレ、まわりの子が辛いとき一緒に泣いてしまって、そして、人の気持ちをよく考えてあげられる子。こんなに心が綺麗な子に私は、初めて出会った。自分の気持ちにとても素直。だからワガママな一面もあるけど、話せばすぐにわかってくれるる。そしてマイペース。
そんな天然記念物並みの純粋なお姫ちゃんの心は汚さない!という暗黙の了解みたいなの私達の中にはあるのだ。
その純粋さに踏み入れていいのは、お姫ちゃんの初恋相手だけかな。少し幼く素直なお姫ちゃんは何人もの男子から告白されている。守ってあげたいって思うらしい。
しかし、当の本人は無関心。返事はいつも決まって『ごめんなさい』なのだ。しかも、一人できてと呼び出されても毎回誰かを連れていってしまうのだ。お姫ちゃんいわく、男の子と二人というのは怖いのだとか。だいたいは、悠花を連れていくが先輩からの呼び出しの時は、咲輝や私のところにお願いしにくる。
一度だけ口裏合わせをして、みんなついて行かないって言ったことがあった。一人できてって言われたんだから一人でいかなきゃだめでしょ?とか言って。その時、お姫ちゃんは呼び出された場所に行けなかった。約束を破ることよりも、一人で行く方が怖くて嫌だったらしい。話が終わったらきてねと言ってたところに泣きながらきたのだ。約束を破ってしまったことに対して涙を流していた。
こんな後輩を私はほっておけないのだ。
恋をしたことのない柚姫の初恋はいつ訪れるのだろうか?
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