第8話【迷宮の入り口】

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 噛みつきやしないのに……と思ったが、この現実離れした世界じゃ、いきなり銅像が動いたりしてな。ハハ……。 「ふむ。特技がないねぇ……」  油断していた俺の耳に届いた誠治の呟き。俺ははっとして、やつの目を真っ直ぐに睨みつけてしまった。  メガネの奥にある誠治の瞳。鋭い眼光を放っているのは分かったが、何を考えているかやはり読み取れない。  しばらく見つめ合う誠治と俺。  ……視線を感じて、振り返ると理沙だった。 「……アンタたち、何、男同士で見つめ合ってんの? キモっ!」  理沙の表情は限りなく冷たいもんだった……。うわぁ……。 「まぁ、いい。いずれ、わかることだ」  誠治は呟くと、微笑を浮かべていた。
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