第8話【迷宮の入り口】

4/6
前へ
/1232ページ
次へ
 改めて質問されたが、俺には誠治の考えていることはよくわからなかった。彼はいつも薄笑いを浮かべて、どこかに余裕を残しているように見える。  うーん、心の中が全く読めない野郎だ。理沙とは大違いだな。 「やる気はない」  俺はきっぱりいった。  しょうがない、これが本音だ。 「けど、拒否権はねえんだろ?」 「わかって貰えているようで、嬉しいよ」 「職業だって【無職】なんだぜ。何の特技も持たないで、生き残れるのか。それすら、怪しいもんだ」 「そればかりは、君自身に問いかけて貰うしかないな。迷宮に一歩足を踏み入れれば、頼れるのは、自分自身と仲間だけだ」 「仲間ね……」  水着みたいな鎧を着た俺の仲間。  理沙は竜の銅像に興味津々だ。口の中に恐る恐る手を差し入れたりしてる。
/1232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5599人が本棚に入れています
本棚に追加