ワンナイトメアデイ

アリスの不思議な女の子

近藤春人は毎日何者かに追いかけられる夢を見る。それは花を持った小さい子供であったり、拳銃を持った男であったり、杖をついた女だったりする。夢のはずなのだが、捕まったらお腹を裂かれて殺される。
　目を覚ませば、裂かれたお腹は元通りにふさがっている。夢の出来事なのでそれが当たり前なのだが、本当にお腹が裂かれたような錯覚になる。
　本当に自分のお腹が裂かれて、それを縫合されたように感じる。お腹をさするがいつもと同じ。縫い目などはない。
　毎日のようにこの夢を見る。奇妙なことに二人は見覚えがない顔だが、一人だけ見覚えのある顔がいる。俺が中学から好きで同じ高校に通っている女の子。その女の子はお腹を裂かれて倒れている俺を見下ろしている。
起きてもそのもやもやは晴れることなく、記憶の中に鮮明に残っている。
また、今日もお腹を裂かれて目を覚ました。