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その日の朝はホームルームが無くなり、全校生徒が体育館に集められた。当然、金曜日に起きた飛び降り自殺についてだった。
警察やマスコミからいろいろなことを聞かれるかもしれないが、何も知らないとだけ言うようにと強めの口調で言われた。先生たちも焦りが隠せないという状況に見えた。
長々と校長先生が今の状況を説明した。興味をもって話を聞いている者が半分、めんどくさそうに隣の生徒と私語をしている者が半分といったところか。
全校集会では智則の言っていた遺書については触れられなかった。
長い全校集会が終わり、授業が始まったが今日は職員会議のせいなのか、ほとんどが自習になった。
放課後になり俺は無意識に屋上に来ていた。変に生徒の感情を逆撫でしないように、屋上への立ち入り禁止は行わないと職員会議で決められた。
大友亮介が飛び降りた場所だけいくつかの赤いコーンで囲われている。
その場所に立つ。ここから同い年の生徒が飛び降りたのか。
「その場所から大友亮介は飛び降りたのよ」
心臓が跳ねた。一人でいたと思っていた空間に女の声が入り込んだのだ。
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