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律「はい?」
高「だから、俺明日から遠方に出張。」
律「それがどうかしました?というか何で朝から待ち伏せしてるんですか!」
高「何でって…一緒に行きたいから。」
律「…なっ?!や、やめてください!!」
丸川書店エメラルド編集部小野寺律。
縁の無い少女漫画編集に配属されたり、編集長が初恋の人だったり色々あったけど、何とかこの仕事にも慣れてきた…
そしてどうやら俺は…再びこの初恋の人、高野政宗を好きになってしまったらしい。
高「念のため留守の間、部屋に何も無いか確認しといてくれ。」
律「あぁ…はい、わかりました。」
高「あと…」
律「………?」
高「寂しくなったら何時でも電話どーぞ。」
律「…!だ、誰が!むしろ穏やかな日常が楽しみです。」
高「本当…可愛くねーなお前。」
律「可愛いとか思って頂かなくて結構ですから。」
高「まぁ…一週間もお前に触れられないわけだし、声だけでも聞きたかっただけ、俺がな。」
律「…!ば、馬鹿じゃないですか!」
好きと分かっても性格がひねくれまくった今の自分が素直になれる筈が無くて…
律「(つか、素直になったらなったで高野さんが調子に乗るし。)」
…でも何時かはちゃんと伝えなきゃ後悔するってことはよく分かってるわけで…
――――――――――――…
木「あー…鬼の編集長が居ないと天国だぁ~」
羽「木佐、ノルマは達成しなきゃ仕事倍にする、と高野さんが言ってたぞ。」
木「分かってるけどさー…なんか高野さんがいないど今いち気合い入らないっていうか…ねぇ、律っちゃん。」
律「え?あぁ、確かにビシッと言ってくれる人が居ませんしね。」
木「そーそー!それにしても今回の出張は長くね?」
美「いつもはだいたい3日くらいだよね。」
羽「予定が幾つか重なってるらしい…首都圏から離れてくらす作家さんも多いしな。」
律「やっぱり田舎の自然に囲まれると筆も進むんですかね?」
美「確かに、スランプ起こした作家が田舎でしばらく暮らすってよく聞くね、心も落ち着くし。」
木「高野さんも田舎の穏やかな空気に包まれて優しくなって帰ってこねーかなー…想像出来ないけど。」
律「はは…それはないですね。」
高野さんが出張に言って2日目。
何かと厳しい編集長が居ないため、なんとなく気が抜けたエメラルド編集部は、いつになくお喋りが多い。
こうして楽しく話す機会などなかなか無いので、少し嬉しい。
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