世界一初恋~酔っ払い律っちゃんの場合~

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―――――――――――――… 律「今日の夕飯…コンビニ弁当でいいか…」 高野さんが出張に行って5日間。 パワハラと言う名の嫌がらせもなく…セクハラもなく、穏やかで良いはずなのに… 胸に穴が空いたような… 律「これは…寂しい、ってことだよ…な…」 認めたくないけど…認めざるを得なくて… 「あれ?小野寺くん?」 律「…!長谷川さん、こんばんは。」 長谷川さんは、丸川書店文芸部、俺が前の会社で担当していた角先生の担当をしている。 優しく小説の事で話しも合うし一緒に居るととても居心地が良い。 …まぁ、普段はいつも高野さんが邪魔してくるからゆっくり話せたことなんて無いのだけど… 長「珍しいね、今日は高野と一緒じゃないんだ?」 律「あぁ…高野さんは今出張で…」 つか、いつも高野さんと一緒に居ると思われてるのか… 長「へぇ…じゃあ、これを機会に食事でもどう?」 律「え?」 長「普段は高野に邪魔されちゃうしさ。」 律「ぁ…はい、じゃあ…」 何でだろう…せっかく長谷川さんとゆっくり話しが出来るのに… 長「……あ、でも…後で高野にバレたら大変かな?」 律「…え?」 長「俺も怖いし、またにしようか。」 律「…ぁ、すいません…」 きっと長谷川さんは分かっているんだ…俺があまり乗り気じゃないって…どうしよう、俺すごく失礼だ。 長「それじゃあ、角先生の新刊来月発売だから、良かったら渡しに行くよ。」 律「…!あ、ありがとうございます!」 やっぱり長谷川はとても良い人だ…今度はきちんとお礼をしなきゃな。 律「…やっぱり、コンビニ弁当か…」 寂しい、だけど電話はしない…したら高野さん調子に乗るし…何より好きという気持ちが口から溢れてしまいそうで怖いから。 律「大丈夫、たったあと2日じゃないか…」
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