衝動的に

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――――――――――… 「また臨也に逃げられたの?」 「逃げ足だけは早いからな…あの野郎は。」 ざわめく胸も収まらないまま偶然出くわした闇医者…新羅の家に居る。 「セルティは?」 「出かけてる。」 「…そうか…」 「静雄にしてはおとなしいけど…何かあったの?」 「あ?」 「臨也に逃げられた後の静雄にしては…って話。」 「別にいつも通りだ…」 「いつも通りだったら今頃その手の中のマグカップは粉々だからね。」 「………。」 普段はセルティ馬鹿のコイツは変なところで鋭い。 「…で?どうしたの?」 「別に…どうって訳ではないんだけどな…」 まぁ…別に話してもいいか… ……………………………。 「……ってなわけで…よく分かんねぇんだけどイライラしてんだ。」 「………。」 「おい…聞いてんのか?」 「…ぇ?あぁ…うん…聞いてるよ…いや…色々意外でさ…」 「は?」 「静雄ね…それは…あれだよ…」 妙に嬉しそうな顔で肩を叩いてくる新羅。 「あ?意味わかんねぇ…」 「まぁ喧嘩する程仲良いって言うしね…」 「何なんだ…うぜぇ…はっきり言え!」 「…まぁ…それは自分で気付くべきことだからね…」 ニヤニヤした新羅が微かなバイクの音を聞きつけ走っていく。 セルティが帰ってきたのか… 「あぁ…うぜぇ…余計意味分かんねえじゃねぇか…」 「仕方ない…鈍感な静雄に特別にね…それは、恋だよ。」 ひょっこり扉から顔を出した新羅が変わらずニヤニヤしながら言った。 「…こい?」 こいって…魚の鯉じゃねぇよな…じゃあなんだ…恋…か? 俺がノミ虫に…恋? 「ありえねぇな…」 その瞬間胸のざわつきが一層大きくなったなんて…認めねぇ…
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