14877人が本棚に入れています
本棚に追加
好きで、好きで――。
いくら、周りに『悪い男』だと言われていても。
それなのに…。それでも…。
「俺としてみない?」
「はぁっ?」
カシャンッ‥、思わずグラスを倒してしまう。
『あーあーあーあー』と、言いながら理紫<サトシ>が側にあったお手拭きでカウンターのテーブルを拭く。
急いで駆け付けた店員が『よろしいですよ』と後始末をしてくれた。
「すみません。こいつ本当に鈍くて」
呆然とする海月<ミツキ>の横でそんな会話が聞こえてくる。
店員が去った後、
「だから単刀直入に言うって言っただろ?」
甘く、いたずらっ子の様に瞳を煌めかせて理紫が言った。
本当に変わらない…。
ドキン、と心臓が跳ね上がる。
私も、変わらない…。
(もう、勘弁して…)
海月は浅い息を整えると、すぅーっと深呼吸をした。
最初のコメントを投稿しよう!