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「…もう、いい」
「よくねーよ」
顔を背けると、理紫が海月を顔を挟む様にして後ろの壁に両手を付いた。
けれど、海月は視線を逸らしたまま合わそうとはしない。
「こっち向けよ」
「…理紫の気持ちは良く分かりました。ありがとうございます」
「…何ンだ、それ」
海月は理紫を潤んだ瞳で睨み返す。
「じゃあ、どうすればいいの?」
理紫は海月のその苦し気な色を孕んだ瞳を受け止めると、怒った顔を困った顔に変えて、
「…それはこっちが聞きたい」と、片手で海月を引き寄せた。
「何がそんなに不安だよ…?」
言われて、身体がビクッ…と震える。
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