18.

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急いで靴を履いて追いかけるが、既に姿は見えない。 「……理紫の、ばか」 風が身を切る様に冷たい。 こんな寒い中帰ってしまうなんて…。 身を震わせながら、理紫を想う。 海月は思い出した様にポケットから丸い金具を取り出した。 月に翳して、そっといつもの定位置に嵌めると、 「《本物》になりたい…な」と呟く。 自分が《本物》だったなら、きっと今日だって話してくれた筈…。 理紫の《本物》になりたい。 大事だからこそ言えない事があるなど思い付きもせずに、海月は心から本当にそう願って、銀色に光るキーリングに頬を寄せる…。 その時、ポケットで海月の携帯が鳴った。
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