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初めは『またこんな所に女の子なんか連れ込んで』と思った。
けれど…。
海、月ちゃ…ん?
よく見ると、こちらに背を向けている栗色で長い髪の後ろ姿は、間違う(まごう)事無き、海月だった。
2人で何をしているんだろう…?
優しく色めいた微笑みを浮かべる友達を見ていると、何かイケナイ事をしている気になってきて、阿部は急いで身を隠してから、再びこっそりと中を覗き見る。
…それからは、セピア色の空気の中、全てがスローモーションで映画を見ているようだった。
理紫が近付いて何かを言うと、海月がコックリと頷く。
すると、制服のポケットに手を突っ込んだまま理紫が前屈みになり…、ゆっくりと睫毛を伏せた!
『わ…っ!!』
飛び出してしまいそうな声を抑える為に、阿部は両手で自分の口を抑える。
すると、その阿部の動きで気付いたのか、瞳を開いた理紫とバチンッと目が合った。
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